この空の果てで
「あ、エリ。ごめん、遅くなって」
息を切らしたアイが駆け込んでくる。
「……今日はどうするの?」
「殺す」
「え?何言ってんの?」
「殺す」
「……それは、まずいんじゃない……?」
「どうして?」
アイに意識を向けながらも、わたしを絶対に逃がさない。
「……だって、それ、うちらの将来に傷が付くんだよ?
……止めようよ」
呆れた。
分かってはいたけれど、人を殺さない理由が「自分の将来に傷を付けたくない」からって。
一瞬でも期待したさっきのわたしを殴り飛ばしてやりたい。
そんなこと、あるわけないのに。
馬鹿な夢なのに。
「……次はぜってー殺すから」
解放されると、床にへたり込んでいた。
……怖かった。
でも、これでホノカさんに報告出来る。
あと何時間か我慢すればいいだけだ。