犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら
番外編①



「結菜〜?遅れるぞって。
お前、俺より朝弱くなったな。」



そう言いながら彼女の頭をポンポンと撫でると「んー。」と彼女が目を開けた。


彼女の瞳にだらしない俺の顔が写る。


ったく。なんて顔してんだ俺は。
ベタ惚れすぎんのも、やっぱりカッコわりぃな。


と思いながらも、彼女への愛情を止めることは出来ない。


「孝弘、おはよー。」


すっかり定着した俺の名前も、朝の挨拶も。
何もかもが愛おしくて俺は彼女にキスをした。



柔らかい唇に吸いつけられる俺の心と身体。
ベッドの上に俺も転がり込んで、彼女と深いキスを続ける。


あーやべぇー。このまま抱きてぇ。



そう思って彼女を押し倒すと、満更でもなさそうな顔の結菜が見えた。



「結菜...」


「孝弘...。大好き」



毎日、大好き大好きと言ってくれる彼女は付き合う前とは別人のようで、すぐ俺に甘い顔を向けてくれる。



にっこりと俺が微笑むと結菜も涙を浮かべて「幸せ。」といってくれる。
そのままゆっくり、結菜に顔を近づけると...



「って!ちょっとまって!!?
今何時!?」


「ん?9時ぐらい?」

「え!もう9時!?
遅れちゃう!準備しなきゃ!」

「えー。まだ大丈夫だろ。
もうちょい、キスさせて?」

「えー!ちょっと無理!
さっき、孝弘も遅れるぞって言ってたじゃん!」

「いや、今は状況が変わった。
結菜が欲しい。」


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