星空の下、キミとの約束。
成瀬さんが帰ってからも、治まらない涙をそのままに、
私はここ最近、自分から動かそうとしなかった体を起こした。
予想以上に、思い通りにならない手足。
「菜摘、」
支えてくれようとするお母さんを断って、私は肩で息をしながら体を動かす。
「……っく…。」
点滴に捕まるようにしてゆっくりと床に足を着いた。
がくがくと震えて立つのが精一杯な状況だった。
「お母さん、行きたい場所があるの」
泣きながら、そう言う私に、お母さんは自分の涙を拭いて頷いた。
一歩ずつ踏み出して、病室を出る。
体を支えるのは、点滴と廊下の端に着いた手すり。
それらを利用しながら、座り込みたくなるのを堪えて、私は歩き続けた。
お母さんは、私の意思を尊重してか、手を貸すことなく黙って少し後ろを着いてきてくれる。
昼間ということもあって、何人かのお見舞いの人たちとすれ違った。
たくさんの憐れみの目を向けられながらも、私は必死で足を動かし続ける。