星空の下、キミとの約束。
#32
ーーガラガラ…
目的としていた病室。
そこに着いたときには、私は肩で息をしていた。
「……りん、ちゃん。」
私が行ったのは、鈴ちゃんの病室だった。
あの日から、変わらず寝たきりの彼女。
私は、ベッドの横に膝をつき、鈴ちゃんの右手を握りしめた。
「鈴ちゃん。私、どうしよう……。
大好きな人がいなくなって、生きていけるのかな…。」
そう、弱音を吐き出したとき、
鈴ちゃんの枕元で小さく輝くものが目に入る。
「鈴にも渡したんだ。」
いつかの大翔の声が、あまりにも鮮明に頭に響いて、私は思わず周りを見渡した。
勿論、そこには、寝たままの鈴ちゃんと、心配そうに見守ってくれているお母さんしか居ないんだけど。
私はもう一度、鈴ちゃんの枕元に視線を戻して、輝くものに手を伸ばした。
それは、大翔が言っていた、ピンクゴールドの御守り。
外からの光が反射してキラキラと輝くそれが、あまりにも綺麗で。
その御守りに見守られるように眠る鈴ちゃんは、なんだか少しだけ笑顔なようにも見えて。
私は、久しぶりに本当に小さく笑みをこぼした。