星空の下、キミとの約束。

ふぅ、と息をつきながら歩く。


「今日、お父さん家出るの早かったよね。」

「あぁ、この時期いろいろ大変なんだろ?それこそ新入社員とかさ。」

「あー、なるほどね。」


新入社員かぁ…春だもんね。


「おはよ、なに入学式当日から就活の話?」


突然現れた人影にビックリしながらも振り返ると、シュンくんがいた。


「よ」

「よ。菜摘制服似合うじゃん」


お兄ちゃんに挨拶を返しながらも制服を褒めてくれたシュンくん。


「わぁ!!ありがとーーー!!!……ございます。」


そういえば、今日から先輩だ。

そう思って、取って付けたように敬語を使うと、シュンくんは可笑しそうに笑った。


「ははっ、似合わないなあ〜。気にしなくていいよ別に。」

「…てかお前、敬語なんて使えるの?」


シュンくんに続いてお兄ちゃんも口を開く。


「敬語くらい使えるもん!でも、シュンくんがいいって言うなら変えない!」


先輩だからって変わらず居てくれるシュンくんはやっぱり優しくて、私はえへへ、と笑った。
< 36 / 296 >

この作品をシェア

pagetop