弟くんの逆転


「だからきっと、来年、梓はもっと大変になってるだろうね」

「え、なんで?」

「奈保、ここ受けるから。私でも入れたんだから奈保だって入れるでしょ、たぶん。せめてもの救いは学年違うことぐらいじゃない?同じ学年だったら付きまとわれるよ」


香乃、言いたいことはわかるけど、言い方。自分の弟を犯罪者みたいな言い方しないで。さすがに奈保くんが不憫だよ。

…でも確かに、大変そう。主に私の心臓が。
奈保くんが落ちるなんてことはないだろうし。頭いいらしいから。

…不安しかない。

そう思うと、奈保くんは「同級生だったらよかったのに」って言ってたけど、もし奈保くんが同級生だったら、ほとんどの時間、奈保くんの過保護ぶりが発揮されるわけだ。怖い。…お姉さんでよかった。




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