3度目に、君を好きになったとき
7.未完成の夕空



私の斜め前を歩く蓮先輩は、普段よりも口数が少ない。

何より、笑顔がなかった。

どことなく冷たい横顔で、近寄りがたい雰囲気を漂わせている。


何か気にさわることをしてしまっただろうか。

聞きたいけれど、とても聞けない空気で。

未琴に忠告されたことを意識したせいもあって、うまく会話が弾まなかった。






全体的に白っぽい外観。洋館という印象のその家が、蓮先輩の住む家だった。

大きな石畳の上を歩き、家の中へと案内される。

家族の人は皆、出かけているらしく、辺りは静まり返っていた。

カタ、と先輩が廊下に鞄を置いた音さえも、妙にクリアに耳へ届く。



「どうぞ」

「お邪魔します……」


かすれた声が吹き抜けの玄関に響く。


「そんなに、緊張しないでいいよ」


そこでようやく先輩が目元を緩めたので、ほっとして家の中に上がることができた。


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