異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 私、単におっぱいを見られただけじゃなくて、締まりのない緩んだ体とセットで見られちゃったのがショックなんだ……。もっと言うと、それでライが幻滅しちゃうのが悲しい……。
 ……あぁ、そうか。どうやら私は、ライの目にちゃんと女の子として映りたいらしい。
「うっ、うぅぅぅっ」
 ……私、痩せたい。 痩せて綺麗になって、ライに請け負った減量任務の対象者じゃなく、ちゃんと女の子として見られたい。
「うっ、うっ、うぅぅ」
 私はこの日、ダイエットを開始して初めて、枕をよだれでなく涙で濡らしながら眠りについた。

 そうして寝つくとすぐに、夢には例の王子さまが現れた。
 この日も王子さまの顔は、よくわからなかった。
「お姫様、泣かないで?」
 今日の王子さまは、おいしそうな献上品を携えてはいなかった。
 代わりに手にしたハンカチを、涙に濡れる私の頬にチョイチョイとあてがう。
「無理ぃ……うえっ。えぐっ、ぐすっ」
「困ったね、かわいいお姫様」
 王子さまは私の肩を、ポンポンッと優しく抱きしめた。
 困ったと言いながら、その口振りに反して王子さまは、どことなくうれしそうだと思った。

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