福山先輩、あのね。

その言葉にうなずきながら、下駄箱の中に伸ばしたわたしの手に

何かが当たった。


「―――…」


指先に触れる、薄い布の感触。

……何……?

ゆっくりと取り出して、見てみると。


……白いゼッケン。


これは……
これは、あの駅伝で選手たちが胸につけていたものだ。


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