マリンスノー
「……凪。」

「霞くん、行こっか。」

私の名前を呼ぶうみくんを無視して。
私は霞くんの手を引いた。


しばらく、お互い無言で歩き続ける。
行こう、って歩き始めたのはいいものの。
完全に止まるタイミングを見失った……。

どうしよう……。

うーんっと悩んでいると。
いきなり腕が後ろに引っ張られて身体が傾く。

えっ……?

倒れる!!
そう思って、ぎゅっと目を瞑ると。
ぽすんっと音がした。

目を開ければ、後ろには霞くんがいて。
私は霞くんにもたれかかるように倒れていた。

「ご、ごめん霞くん!」

「いや、俺がいきなり立ち止まったのが悪いから。」

手を繋いだまま霞くんが立ち止まったから後ろに引っ張られたらしい。
後ろに引っ張られた理由を理解した私は。
体制を元に戻して、霞くんの隣へ移動した。

「どうしたの?」

そう尋ねながら霞くんの顔を覗くと。
手を繋いだまま、霞くんは左手で私のことを引き寄せて。
そして、力強く抱きしめた。

「か、霞くん!?」

いくら人がいないからってここは通学路で。
いつどこから人が来るか分からない状態で。
それで、で……だから……その……は、恥ずかしい……。

「ごめん……少しだけ。」

掠れた声でそう呟く霞くんは、いつもの霞くんと少し違って。
私は持て余した右手をそっと霞くんの背中に回した。

「まさか凪がああ言ってくれるとは思ってなかった。」

「え?」

「抱きしめてくれたり、俺とのことを大切にしたいって言ってくれたり。」

「ああ……さっきの。」

< 52 / 52 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

わたしと先生。

総文字数/6,841

恋愛(純愛)11ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「先生の事好きって言ったらどうしますか?」 小鳥遊 ふゆ × 「その年頃は先生に憧れるものですよ。」 吉沢 悟 高校1年。 誰にも言えない恋をした。 私だけの内緒で、秘密の気持ち。 好きになってはいけない人に恋をした。 好きだと大声で言えない人を好きになった。 私の、本気の恋。 勘違いじゃない、憧れじゃない。 真っ直ぐで、本気の、恋。 困らせるって分かっていても止められない。 走り出したら止まらない、淡い実らない恋心。 「好きって言って下さい、先生……。」
【完】そして、それが恋だと知った日。

総文字数/88,015

恋愛(純愛)207ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あの頃の私は周りの目ばかり気にしていた。 君の気持ちより、自分を優先して。 恥ずかしさや後ろめたさ。 からかわれたくない気持ちでいっぱいだった。 だから、たくさん、君を傷つけてしまった。 小さな世界の中。 その世界が私のすべてで。 素直になれないでいたあの頃。 それでも君が好きなのは本当で。 初めての感情だったんだよ。 分からないことばっかりで。 正解が何かも分からなくて。 すれ違ってばかりいた日々。 それでも、私たちは。 全力で恋をした。 君に、恋をした。 小笠原 真子(おがさわら まこ) × 伊澄 彗(いずみ すい) × 苑田凜久(そのだ りく) × 井上理香子(いのうえ りかこ) × 長沢すみれ(ながさわ すみれ) × 高橋まひろ(たかはし まひろ) あの日、人生でいちばん最悪な日。 私はこの気持ちが恋だと知った。 start⇢2018.02.26 end⇢2018.04.04
【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女

総文字数/23,336

恋愛(キケン・ダーク)56ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
見た目も中身も正反対なふたり。 ピュアで不器用なふたりの。 お付き合いから始まる恋物語。 start⇢2018.04.04 end⇢2018.04.10

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop