薄幸バラード
「いや。こっちこそごめん。今日はコンビニでパン買ったんだ。」
さっきと同じように菓子パンの入ったコンビニのレジ袋を見せた。
「今日は私もコンビニでサンドイッチ買ったんだ。」
と言ってサンドイッチとコーヒーの入ったコンビニのレジ袋を開いて見せてきた。
「それでね…。い…一緒にたべない!?」
高島さんからご飯のお誘いがあるなんてこの会社に勤めて3年間で初めてのことだ。
「どうかな…!?」
伏し目に高島さんがこっちを見てる。
驚いて少し間が空いちゃったけど、1人で食べたいと言える訳もない。
「うん。高島さんさえ良ければ一緒に食べよう。」
問題なのは、内気な男女の会話が、沈黙から始まり沈黙で終わるのが通説であることだ。
「ここじゃあれだし。フリールームで食べる?」
うちの事務所には、フリールームという雑談したりお昼ご飯を食べたりできるスペースがある。
あまんり皆んなは使ってないようだけど、2人で食べるならあそこが落ち着けるし、周りに気を使わなくていい。
そういえば、入社仕立ての時はよく畑中とパン食べてたっけ。
「うん。」
栗色の髪がふわっとした。