君はこの恋を知らない
episode 1 先生へ。 〜あやみの場合〜

今日で高校を卒業する。
つまり今日で、3年間片想いした先生ともお別れ。
誰もいない教室で1人、想いを巡らす。

卒業式の後、先生を教室に呼び出して告白。
晴れて両想いに。

...... なんて王道少女漫画みたいなことはしない。
できるわけない。

先生とは仲良いし、
何か行事があるたびにツーショット撮ってもらったし、
バレンタインだって本命を毎年渡したけど、
先生が私のことを「ただの生徒」としてしか見てないことくらい、3年見てれば痛いほど分かる。

好きだけど。
大好きだけど。
離れたくないけど。

こればっかりはしょうがない。
叶わない相手に恋をしてしまった私が運が悪かっただけなのだから。

諦めよう。
卒業と同時にきれいさっぱり忘れよう。

......涙は溢れてくるけど。止まらない...けど。

「おまたせ!ごめんね待たせて!」
待っていた親友が戻ってきた。
彼女だけは、私が本気で先生を好きなのを分かってくれて応援してくれた。
いい親友を持ったな。

「だいじょぶだよ!帰ろっか。」

「......あやみ!先生に想い、伝えなくていいの?」

「うん。大丈夫。」

「ほんとに?後悔しない?」

「ほんとだよ(笑)後悔しない。
私に全く気がないのは私が1番分かってるし。
私が当たって砕けろタイプじゃないのは知ってるでしょ?
だからいいんだ。いい思い出でいたいんだ。」

「そっか。あやみにしてはちゃんと考えたんだね。
えらいえらい。
よし!卒業記念でラーメン食べに行こ!」

「うん。ありがと泣
って今、あやみにしてはって言ったよね?!」

「聞こえなーい笑 ほら行くよっ!」

「えっちょ待ってよ!」
.
.
.
先生へ。
3年間ありがとうございました。
先生あのね?
先生の優しい笑顔が、声が、言葉が、仕草が。
全部が大好きでした。
想いは伝えられなくても、先生との思い出は一生の宝物。
忘れることはありません。
先生への想いがいつか、いつの日か.....!
振り切れたときがきたら、
学校に会いに行きます!
それではその時まで、
さようなら。先生。
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