墜落的トキシック
私の机に近づいたかと思えば、無防備に置いたままだったプリントをひょいと持ち上げて、馬鹿にしたように鼻で笑った。
「相変わらず、非効率的」
「……っ」
あえて私を煽るような言い方をしているのはわかっているけれど、それでもむくれてしまう。
むすっとした私をせせら笑った佐和くんは。
「手伝ってやろうか?」
上から目線。
いつもそうだ。佐和くんは、いつも。
災難ばかりなのは佐和くんのせいなのに、ぎりぎりのところで手を差し出してくる。
その高圧的な物言いは全くもって気に入らないのに、結局私は。
「……」
唇を結んだまま、顎を軽く引いた。
結局私は差し出されるその手を受け入れるしかないのだ。
ずるいやり口だと思う。
頷いた私に愉悦の表情を浮かべてから、佐和くんは机の端をとんとん、と叩いた。
『来いよ』って合図。
────私、自販機に行くはずだったのに。
どうしてこうも、予定を狂わされるんだろう。
よりによって、大嫌いな佐和くんに。
小さく息をついて、教室の中に戻る。
ひとつの机を挟んで佐和くんと向かい合わせに座った。
仕方なく。仕方なくだよ、これは。
「……佐和くん」
「なに」
話しかけると、すごく鬱陶しそうな顔をされた。
見ると、既に佐和くんはプリントにさらさらと何かを書き込んでいる。
やっぱり得意なんだ。
だったら、最初から佐和くんが引き受けてくれていればよかったのに。