墜落的トキシック
置いてあった鞄を無造作に引っ掴んで、教室を飛び出した。
振り返りもせずに、廊下をずんずんと進んで行く。昇降口へと一直線。
“そんなんだから振られんだよ”
あの瞬間感じた、えぐるような胸の痛みがだんだん怒りへと変わっていく。
無意識に早足になるのがわかった。
佐和くんになにがわかるの。
私とハルのこと、なんにも知らないくせに。
どうして私があんな風に言われなきゃいけないの。
────馬鹿みたいだ。
見かけるたびいいなって思ってた。
高校に入学して、佐和くんを見つけて。
爽やかで人当たりのよさそうなひとだなって、ずっと。
ずっと気になってたのが馬鹿みたい。
爽やかイケメンなんて、ただの仮面。
……どうして今まで気づかなかったんだろう。
気になる、なんて大間違い。
佐和くんなんて大嫌いだ。