墜落的トキシック
「ハルはっ!? ハルは雨、大丈夫だったっ?」
瞠目して焦ったように声を上げた私にハルは優しく笑って。
「うん、大丈夫」
「ほんとっ?」
私、何やっているんだろう。
勝手に倒れて、それでその間、ハルのこと────。
青ざめた私の頭をぽんぽん、と撫でて。
「ほんとだよ」
安心させるように微笑んだハル。
「俺は、大丈夫」
「……よかった」
彼の瞳に張る薄い水の膜が切なげに揺れた、のは多分気のせいで。
名は体を表すとはよく言ったものだ。
春のように穏やかな微笑みと口調に、ようやく落ち着いた。
「空き教室の前、だよね。たしか……」
「うん」
「……もしかして、そこまで来てくれたの?」
「まあ、ね」
頷いたハルに目を見開く。
だって。
「どうしてわかったのっ? あそこにいるって」
すぐに終わる予定の用事だったから、ハルには何も告げていなかった。
そして私もハルも、空き教室のある場所になんてめったに行かない。
なのに、どうして。
吃驚する私の瞳をハルはまっすぐに射抜いて。
「花乃のことなら何でもわかるよ」
「……っ」
何でも。
それって、
「何でも?」
どこまでの、何でも、なの。
反芻した私に、ハルはゆるく口角を上げるだけで答えはくれなかった。