墜落的トキシック


「何したの……って」


尋ねかけて、直後、画面を見て理解した。

メッセージアプリに、今までなかった4文字が並んでいる。


“佐和侑吏”


つまりは、連絡先交換というわけだ。




「……どうして急に」

「別に。……夏休み、委員会とかあるし」



侑吏くんにしては妙に歯切れの悪い返事。

だけど、連絡先を手に入れたらもう用はないらしく、教室に帰れ、と追い払われる。


自分勝手にも程があるでしょ、と心の中で毒づいた。




「おかえりー」

「……はあ」



教室に戻ると、麻美が出迎えてくれて、思わずため息をつく。


「で、何用だったの?」


興味津々、といった様子の麻美に起きたことをそのまま説明すると、「なあんだそれだけー?」と返ってきた。

私が言いたい、その台詞。



「でも、一応気をつけなよ?」

「え?」



声のトーンを落とした麻美にきょとんとする。



「佐和くん狙いの女の子、多いんだから恨まれないようにねってこと。花乃と佐和くんがテスト期間一緒に勉強してたの見たって子もいたし」


「あー、うん、気をつけるよ」

「その顔は絶対わかってないでしょ。女は怖いんだからねー」




麻美に頷きつつ、
でも、恨まれることはないんじゃないかなと思った。


だって、侑吏くんと私の関係って、北村さんたちが羨むようなものじゃないもんね。決して。




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