墜落的トキシック

偲ぶ人






翌日、お昼を少し過ぎた頃。


「今日はいい天気だね」



空を仰いで、ハルが柔らかく微笑んだ。
つられて私も空を見上げる。


雲ひとつない青空。
昨晩はうるさいくらいに雨が降っていたというのに、嘘みたいにからっと晴れ上がっている。



「でも結局、佳子(かこ)さんの好きな花はなかったなー」



ハルは少し残念そうに眉を下げた。
そんな彼の腕の中では、大輪のヒマワリが咲き誇っている。



「大丈夫だよ。母さん、花なら何でも好きだもん」



華やかな花より小さくて可憐な花を好いていたのはたしかだ。
でも、彼女はそもそも花が大好きだった。



私の名前に“花”という字をつけているくらいだもの。


それに、母さんは何でも喜んでくれると思う。そういう優しい人、だった。



『久しぶりに会いに行く?』



朝起きて、開口一番にハルがそう提案した。
それで、花屋さんに寄ってから今、向かっているところ。


母さんが眠る場所は、小高い丘の上にある。
光がよくあたって、緑に囲まれた場所だ。
母さんにふさわしいと思う。



“眠る” という表現はあんまり好きじゃない。
その人がもう目を醒ますことがないという現実から逃げている気がするから。



「もう三年経つんだ」



その場所に辿りつくと、ヒマワリを供えながらハルが言う。




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