墜落的トキシック


「それは違うよ」

「どうして?」



だって。
侑吏くんのスタンスは『恋愛なんて遊び』なんだよ?


それに。



「侑吏くんに今そういう相手いないと思うし」



夏は委員会で一緒になることが多かったけれど、侑吏くん、全然女っ気なかったもの。
誰かと格別に仲が良い、ということもなさそうだった。



「……これだから鈍感は」



麻美がぼそりと何かを呟いたような気がして、首を傾げる。




「何か言った?」

「いーや、何も」



どうやら気のせいだったらしい。

……あ、そういえば。



「麻美、この辺で美味しいケーキ屋さん知らない?」



突如話題を変えた私に麻美は怪訝な表情になる。



「ずいぶんと急ね」

「明日、誕生日なの」

「え?花乃って1月生まれじゃなかった?」



きょとんと首をかしげた麻美。
正解。私は1月生まれなんだけど。



「私じゃなくて、ハルの」

「なるほど。仁科くんって秋生まれだったか」




今日は9月13日。
そして明日14日はハルの誕生日なの。




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