墜落的トキシック
「……えと、侑吏くん?」
黙れと言われて、しばらく大人しくそうしていたけれど。
何も言わない侑吏くんにさすがに痺れを切らして声をかける。
すると、彼はますます仏頂面になった。
絶賛不機嫌。
だけど、話してくれないとその理由はわからない。
じい、と見つめて次の言葉を待つ。
そんな私に、侑吏くんはため息を吐いて。
「おまえ、ほんとうぜー……」
「っ? 何が!?」
喧嘩を売られたのかと、身構える。
侑吏くんは一歩私の方に踏み込んで、手を伸ばした。
「……っ?」
そして、親指をぐいっ、と何かを拭うように私の首筋に押し付ける。
その動作を鎖骨の辺りにも繰り返して。
「牽制かよ」
「は……?」
侑吏くんが小さく呟いた言葉に首をかしげる私の、今度は左手首を捕まえて。
赤く染まった部分を執拗に撫でた。痛いくらいだ。
「……おまえさ、仁科と付き合ってないんだよな?」
「え、うん」
急に何。
面食らいつつも、こくりと首を縦に振る。
私の返答に侑吏くんは眉間にしわを寄せて。
「彼氏でもない奴に所有印なんかつけられてんじゃねーよ」