墜落的トキシック
「……あ、で、何の話だっけ?」
またどこかへ飛んで行ってしまいそうだった意識を引き戻す。
「次、体育だから。移動しないとって言いに来た」
「ほんとだ」
慌てて、きょろきょろと見回すともう既にクラスメイト達は、教室を出ていた。
今日の体育の授業はバレーボール。
体育館で行うのだけど、余裕を持って移動しないと着替えが間に合わない。
慌てて立ち上がると、その勢いからか足元がふらっと揺れた。
さすがに倒れたりはしない、ちゃんと踏みとどまった。ぎりぎりセーフだ、と思っていると。
「花乃、本当に大丈夫なの?」
「え?」
「体調やばいんだったら、見学した方がいいんじゃない」
「えー、大丈夫だもん」
運動神経はそんなによくない。
テストには期待できないため、授業はできるだけ参加して平常点を稼いでおきたいのだ。
「ここ最近調子悪いし、ふらふらしてるし。顔色も良くないよ」
「平気だってば!」
口角をきゅっ、と上げて手でピースサインを作って見せる。
私のその仕草に麻美は少し息を吐いて。
「ならいいけど」
いいけど、と口では肯定しつつも不服そうだ。
心配性だなあ、と思っていると。
「……無理はしないでよね」
重ねて、珍しく眉を下げてそんなことを言うものだから、思わずふふっと笑ってしまった。
こんな風に心から心配してくれる友達がいるって、くすぐったいけど、嬉しいよね。