墜落的トキシック



はっきりとした声。
耳に届いて、理解して。


“依存”



そのワードが頭の中でこだまする。




「っ、」




ぱりん、と私の中で何かが音を立てて割れたような気がした。
もしくは、思いっきり頬を平手打ちされたような、感覚。


かっと一瞬にして頭に血が上る。




「侑吏くんにはわかんないよ!」




悲痛な叫び声。
自分の口から出たとは到底思えないような。


わかってほしい、と思ったはずなのに。
全身が否定している。



「わかるわけないじゃんっ!私とハルのことなんて、全然知らないくせに!わかったような口、きかないでよ……!」



侑吏くんは、ほんとうの孤独なんて知らないでしょう。
体感したこともないんでしょ。

足元から墜落するような感覚を、味わったこともないくせに。



わからないよ。
わかるはずないもん。



目頭がどっと熱くなって、ぼろぼろと涙が頬を伝っていく。


決めないで。
“依存” だなんて────言わないで。


私とハルが間違っているみたいに、言わないで。




「わかんないっ、くせに……っ」




しゃくり上げる私に侑吏くんは息をついて。
そして、一気にまくし立てた。



「そうだよ! その通りだよ、なんにもわかんねえよ! おまえが何にも言わねえから、なんもわかんねえから、こっちはわかりたいって言ってんだよ!」



“わかりたい”


ねえ、どうして侑吏くんは。
侑吏くんは、いつも。



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