墜落的トキシック
男女で交換してつけていると長続きするというジンクスがあるネクタイ。
その上に留められたおそろいのピアス。
目に入るたびにゆるんでしまいそうだ。
どこがって、頬が。にやけてしまう。
にやにやしているのが侑吏くんにばれるのが嫌で、必死に隠していると。
「花乃って、まじで仁科とどこまでやったの」
「……は?」
急にデリカシーのなさすぎる質問が飛んできて。思いっきり顔をしかめる。
だけど、侑吏くんは別に答えを求めていたわけじゃないらしい。
ぐっと顔の距離が縮まる。
侑吏くんの泣きぼくろが見える距離。
「忘れろよ、全部。むかつくから」
息をのむ。
侑吏くんの真剣な顔って心臓に悪い。
「……自分だって、いろんな女の子といちゃいちゃしてたくせに」
「それとこれとは別問題」
別問題ってなに。
むっ、として口を開く。
「意味わかんな────っ!?」
言葉尻を奪うように、ふいに重なった唇。
突然のキスに驚いて目を見開いた。
触れるだけのキスが、角度を変えて深くなっていく。
深くなるたび、胸の奥が甘く疼いて、なにかがうまれるの。
こんなの初めてだ。
ハルと交わしたキスもハグも、全部分け合うためのものだったから。
重ね合わせたところから、どんどん溢れてくるこの感覚は侑吏くんが教えてくれた。