墜落的トキシック
そっと唇が離れる。
だけど、まだ────足りない。
「もっと、して」
自分の口から零れたとは到底思えない台詞。
口にしてから、恥ずかしさに埋まりたくなった。
「なに、甘えてんの?」
「っ、」
赤くなった頬を侑吏くんの指が、とん、とつつく。
照れのあまり引きかけた顎をすくわれて、また重なる。
「……んん、っ」
ねえ、侑吏くん、知ってる?
私、こうやって誰かに甘えたり、普通はしないんだよ。
こんなことするの、侑吏くんにだけだ。
知ってる?
雨が降ると、侑吏くんとのキスを思い出すようになった。
風邪を引いたとき、ちゃんと病院にも行ったよ。そのとき思い出したのは、侑吏くんがくれたプリンの味と、告白の台詞だった。
あのね、侑吏くんが思っているより、私は侑吏くんに染まっているんだよ。
忘れるとか忘れないとか、もうそんな次元はとうに過ぎていて。
ちゃんと特別枠にいるんだよ。
わからないなら、いつかちゃんとわかって。
それで、侑吏くんのこともちゃんと教えて。
教えてくれなきゃわからない私たちだから。
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「侑吏くんのキス、慣れててなんかやだ」
「……この厄介純情」
「侑吏くんなんか、きらい!!」
「もうそれ照れ隠しにしか聞こえない」
END