【短完】甘い甘いチョコレートに、長年の想いを乗せて
『ブラウニー、作ってみたの。』

そう言ってえへへ、と笑う澪。何個か形が歪なものがある気がしたがそれさえも愛おしかった。

「怪我、しなかったか?」

『してないよ!もう、飛鷹はお母さんみたいだなぁ。』


胸がズキンと苦しく痛んだ。

「母親じゃねぇよ。心配くらいするだろう。だって幼馴染なんだから。」

ズキン、ズキン、ズキン。

酸素が薄くなったのだろうか。息がとてもしづらい。苦しい。

『幼馴染…か。』

ポツリ、と澪が呟いた。

幼馴染だ。俺達はそれ以上でもそれ以下でもない、名前をつけることが出来ない関係。

もしも、恋人というものになれたらどれだけ素晴らしいだろうか。

どれだけ嬉しいものだろうか。

…………どどれほどにも、愛おしくて幸せだと心の底から笑えるだろうか。
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