スパークリング・ハニー
そりゃあそうなる、あたりまえ。
得点源になりそうな人はしっかりマークするのが正攻法だけれど。
これ、すごくやりにくい……!
目の前にしっかりと壁をつくられてしまい、ボールには手も足も出ない状況だ。
こ、困った。
ガードされているそのうしろを右往左往するよりほか、なくなってしまう。
きっと、サッカーに慣れているひとなら上手く切り抜けられるテクニックを持っているのかもしれないけれど私にはそんなものはない。
なんて、頭を抱えていたら。
「……!」
相手クラスのプレーミスか、ボールがころころとこちらに向かって転がってくる。
そのボールを捕まえたのは、私のマークに当たっていたひとりで、それによってガードに少しの隙がうまれる。
これなら……!
前に出て、ボールを奪えるかもしれない。
と、このとき私はちょっと自分の力を過信してしまっていて。
たぶん、試合の真っ最中でアドレナリン的な何かが発生して、ハイになっていたのだと思う。
ドリブルでボールを運ぶ、相手チームの女の子。
その前に走り出て、足を伸ばす。
その足はボールを捕え────る前に。
「っ、ひゃ!」
相手の子の足に思いきり引っかかった。
がくん、とブレーキがかかって、前傾姿勢。
こうなってしまえば為す術もなく。
ドサッとその場に勢いよく転倒した。