スパークリング・ハニー


視線の先でダークブラウンの髪と瞳が太陽にきらめく。
それは、ひかりを放つようなハチミツ色。


その持ち主を食い入るように見つめていると、彼がボールを蹴り上げた。

ボールはきれいなアーチを描いてゴールに吸いこまれていく。


直後、部員たちが彼のまわりに集まって、わっと盛りあがるのが見えた。

囲まれた彼がこぼす笑顔はやっぱり眩しくて、私も窓越しにぱちぱちとひそかに拍手を送った。



何度見ても、何時間眺めていても飽きないなぁ。そんなことを思いながら、頬杖をついてじっと送る熱視線。


とくべつなハチミツ色を、いつの間にか目が勝手に追いかけている。


高校生になってから窓際の席がお気にいりになったのは、絶対に彼のせいだ。

だって、気兼ねなくサッカー部の練習を見つめていられる特等席だから。



しばらくそうしているうちに、サッカー部の人たちが日陰に入っていく。

上から眺めているだけではよくわからないけれど、きっと休憩時間に入ったのだろう。


私も窓ガラスに張りつくのを一旦やめた。



それにしても、今日も。



「格好よかったなぁ……」


ぽつりと呟いた、その瞬間。




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