無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



胸に鉛を抱えたみたいに、重くて苦しい。



何も言い返さないわたしに夏向は、「はぁ……」とため息をついた。


ため息をつきたいのはこっちだ……。


チラッと女の子のほうを見てみれば、部屋が薄暗いせいで表情までは見えないし、誰かも知らない。



すると、夏向が冷たい言葉を吐いた。



「邪魔入ったせいで萎えたから帰ってくれる?」


おそらく、この言葉はわたしにではなく、今もまだ押し倒された状態の女の子に言っていると思う。


どこまで自分勝手なんだと思う。
こんな最低なやつなら、一度くらい女の子に一発殴られてもおかしくないと思う。



「な、何それ……っ、夏向くんから誘ってきたくせに……っ!!」


夏向から誘ったという言葉に、ズキッと胸を痛めるわたしって本当に大バカだ。



女の子が若干キレ気味の口調で、勢いよくわたしがいる扉のほうに来た。


近くで顔を見てみれば、瞳に涙をためて、
制服を見てみれば、少し乱れている程度。

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