無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



そして部屋を去る寸前、わたしのほうをきつく睨んできた。


これじゃ夏向に恨みが向くというより、邪魔しにきたわたしに向くような気がする。



わたしが夏向にここに呼ばれたから来た、なんてことを、この子は知る由もないのだから。


またしても女子の恨みを買ってしまった。



女の子が出ていき、部屋に2人残された。


わたしはその場に立ったまま、夏向はベッドに座ったまま。


少しの間、沈黙が流れる。

それを先に破ったのはわたしだった。



「夏向のほうから呼んだくせに……っ」


想像していたより自分の声が震えていた。
心なしか、手も震えているように感じて、抑えるためにギュッと拳を強く握る。


すると、夏向はベッドから立ち上がり、わたしのいるほうへと近づいてきて。



そして、わたしの髪にそっと触れながら。



「呼んだのは俺だけど……
ここに来たのは冬花の意思でしょ?」

< 109 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop