無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
扉が開いて、中から夏向が出てきた。
「あっ、お誕生日おめでとう…!」
「…………」
あれ、いきなりすぎたかな。
全く反応がなくて目の前で固まっている。
「か、かなた?」
わたしが首を傾げながら夏向を見ると、ハッとしたような顔を見せた直後。
「……ありがと」
すごくぶっきらぼうにお礼を言われた。
え、なんでそんな反応が微妙なんだろう?
もしかして今日あんまり機嫌よくないとか?
だって顔が険しそうだし…。
「な、中にお邪魔してもいい?」
「……あー、うん。いいよ」
ほら、なんか反応遅いし。
よくわからなくて、少し不安になりながら、玄関の中に入っていくと、後ろでボソッと。
「……はぁ、可愛すぎて気が狂いそう」
この声がわたしの耳に届くことはなかった。