無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
「冬花が食べさせてよ」
「え、な、なんで?」
「あーんしてほしい」
「こ、子どもじゃないんだから」
プイッと横を向いて夏向から目線を外してみれば。
「誕生日くらい甘やかしてくれてもいーじゃん」
「う……っ」
いつも甘やかしてるつもりなんだけど…と思いつつ、今日の主役は夏向なので聞いてあげるしかない。
「は、はい。じゃあ口開けて」
わたしが言うと、素直に口を開けて待ってる姿が、いつもより幼く見えて可愛い。
「……?早くケーキちょーだい」
「あっ、ごめんごめん」
いけない、可愛いからすっかり見とれてしまっていた。
フォークで一口サイズに切ったケーキを夏向の口に運んであげて、パクッと食べた。
「ど、どう?」
「ん、あんま甘くなくて美味しい」
「そっか、よかった。
甘さ控えめで作ったんだよ?」
「へー。ん、もう一口ちょーだい」