無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



「冬花が離れたせいで目覚めた」

「え……?」


まさかそんな。
偶然目が覚めたんじゃなくて?



「いつも寝つき悪いけど、冬花抱きしめてたら珍しく意識飛ぶくらい寝れた」


「な、にそれ……」


まるで、わたしがいないと夏向はダメになってしまうような言い方。


胸の奥がジワリと熱くなる、変な感覚。



「けど冬花が俺から離れた途端、ハッとして目が覚めた」


この期待させるような言葉を並べるのは、夏向の計算という名の誘惑なのか、


それとも、自然と出てきているのか……。


どちらにしろ、タチが悪い……。
まんまと夏向の誘いにはまってしまいそうになるから。



「……俺、冬花いないとダメになるよ」

「っ……い、意味わかんない……」



「わかんなくていいから、俺から離れないでよ……」


バカみたい、バカみたい……。
この命令のような誘惑をキッパリ切ればよかったのに。

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