夕闇の時計店
自分で直……さないほうがいいよね。

取り返しのつかないことになったら嫌だな……。

「…………」

このネックレス、誰から貰ったんだっけ。

思い出せないほど昔だったかな……すごく大切にしてきたはずなのに。

「今日は頭が働かないのかなー」

ネックレスを窓辺の光にかざして回して見ると、時計の裏に薄れてしまっているが、彫刻が施されていた。

「8112?」

何の番号かな?日付……じゃないし、製造番号とか?

いやでも、何か意味があった気がする……。

「駄目だ。あとで考えよう」

ベッドから降りて、ネックレスを綺麗なハンカチに包んで机に置くと、スマートフォンを操作した。

「近くに時計屋さんあったかなぁ……なかったような?」

行ったことがないから、普段歩く道にあっても通り過ぎて覚えていないだけかもしれない。

近辺の時計屋を調べてみると、幾つか候補が出てきた。

「意外とある……あ、駅の中とかにもあるんだ」

画面をスクロールして眺めていると、一つの店舗が目に留まった。

「ここ……」
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