夕闇の時計店
「〜っ」

ヤキモチがバレていたなんて、恥ずかしい。

「ふ、ふくれてたのは、これ!食べてたからです!」

慌てて手に持っていた焼き鳥を口にし、頬を膨れさせる。

「リスみたいだな」

「もう!」

結局、からかわれてしまった。

それでも手を繋ぎながら、賑わう道を歩く。

「夜一様。……」

通りすがり、背の高い老人が緋瀬さんに耳打ちをしたように見えた。

何だろう……?

「……すまんな、少し話してくるから待っててくれ」

「あ……」

握っていた手が離れて、緋瀬さんが細い路地へ入っていく。

さっきまで温もりのあった手のひらを見つめた。

目の届く範囲で離れただけでも、寂しい。

緋瀬さんは厳しい顔で老人と話をしている。
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