ほわいとちょこれーと!─幼馴染みと恋するホワイトデー
 それを見て千早はにっこり笑うとジャンパーのポケットから例の小箱を取り出した。


「これはね、俺が瑚子に渡したかったの。

なんでか分かる?お前クッキー好きだろ?」


 握った手の中に箱を押し付ける。


「あとな…」


 私の右手に添えた千早の手が離れる。

 その手をさっきの小箱を取り出したのとは逆のポケットに突っ込んだ。


 再びポケットから出された千早の手にはもうひとつ、白い小箱。

 千早はゆっくりと立ち上がって、それを私に差し出す。


「受け取って?」

「これは…?」

「え…これは…」


 千早が少し言い淀む。


「えぇと…何だ…


逆チョコ、的な…?」


「へっ!?」


「瑚子には特別。


友チョコ、嬉しかったから」


 千早がぐいと付き出した手からおずおずと箱を受け取る。


「開けていいよ」


 リボンを解いて箱を開けると、そこにはつやつやと綺麗なハート型のホワイトチョコレートがふたつ。


「瑚子はチョコに目がないけど、中でも特にホワイトチョコが好きなの、知ってるから」


「千早…」


「瑚子はさ、幼馴染みだし、でもそれ以上に俺にとって特別なんだよ。

こんな分かってるの瑚子だけだし、分かってるてのはやっぱ俺にとって落ち着くし」


「千早…

私も千早が特別。落ち着くかどうかは分かんないけど、でもやっぱ特別」


「落ち着くか分かんないって、なんだよそれ」


 千早と顔を寄せ合って笑い合う。
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