転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 言葉を失ってしまったヴィオラに向かい、リヒャルトは力づけるように肩に手を置いた。

「もう、同じことは起こさないから心配するな。ヴィオラは、これから、どうしたいかだけを考えればいい」

「はい……」

 皇妃との時間も、もっと充実させていこう。

 ――ひょっとしたら。

 肩から手が離れていくのを寂しいと思いながら、ヴィオラはリヒャルトを見上げる。

(私は、この人のことを好きになってしまったのかもしれない)

 二度も命を救われた。

 だから、これが恋と言われてしまえばそうなのかもしれないけれど。けれど、告げたところで、先に進むはずがない気持ちなのもいまの段階で見えてしまっている。

 立場の違いとか、年齢の違いとか。

 だったら、今のうちに、これ以上この気持ちが育たないようにした方がいい。

 気持ちに蓋をするように、勢いよく立ち上がったヴィオラは、リヒャルトの手をぎゅっと掴んだ。

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