転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「私としても、誰が、なんのために私を誘拐しようとしたのかわからないんです。だから、不安というか……」

「ヴィオラはどうしたい? 国には帰してやれないが、俺でできることがあれば」

「今のままでいいです。皇妃様とリヒャルト様に時々会えたら、それだけでいいです」

 アデリナ皇妃とのお茶会は、この国に来てからの楽しみのひとつだった。

 外で食事をするようになったからか、皇妃が最近健康を取り戻してきたのもヴィオラにとっては嬉しい。

 だから、今のところ必要以上に望んでいるものはないのだ。もし、アデリナ皇妃がヴィオラを好きになってくれたのなら、それだけで十分だと思う。

「わかった。とにかく、捜査の方は進めよう。預かっている姫君が皇宮内から誘拐されたなどと他の国にも申し訳が立たないからな。セス、警戒を強めるように皇宮警備隊にもう一度話をしよう」

「かしこまりました。それでは、警備隊長との面談の約束を取りつけておきます」

 どうしたって、怖いものは怖い。

 自分に向けられている悪意がどこから来ているのかわからないからなおさらだ。

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