転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「ヴィオラ様、ヴィオラ様……! いいいですか、落ち着いてください。ニイファにすべてお任せください」

 自分の声だって震えているくせに、ニイファはヴィオラに落ち着くように繰り返す。

「……ニイファ。まずは、服をどうにかしないと。水を吸ったら重くなると思う」

「さ、さようでございますね。姫様、失礼いたします」

 水の上に浮いている馬車はぷかぷかと漂っているけれど、長い間はもたないだろう。

 隙間からどんどん水が浸入してきていて、ヴィオラとニイファの不安をあおる。

 ヴィオラの背中に手をかけたニイファは、ドレスをぱっと脱がせてしまった。ヴィオラが身に着けているのは下着だけ。その間にも、馬車にはどんどん水が入り込んでくる。

「ヴィオラ様。窓から外に出てください。ヴィオラ様なら窓から外に出られるでしょう。馬車が完全に沈むまで、まだ時間がございます」

「で、でも、ニイファは? ニイファは窓から出られないでしょう!」

 この馬車の窓はさほど大きくない。子供であるヴィオラだって、ギリギリ抜けられるかどうかという大きさだ。

「扉を壊して出ます。危ないですから……先に馬車の上でお待ちくださいませ」

「それなら、ふたりで扉を開いたほうがいいと思う。ふたり分の力がなければ無理!」

 この時にはもう、馬車の座席が水につかるくらいのところまで水が入り込んでいた。ヴィオラは懸命に扉を開こうとするが、扉はぴたりと張りついたみたいに動かない。

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