転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 目を開けると、味噌汁の匂いが隣の部屋から漂ってくる。

「咲綾はずいぶんお寝坊なのねぇ」

 三宅家は夫婦が経営する洋食店兼カフェ、『アンジェリカ』の店舗の階上に住んでいる。夫の作る洋食と、妻の作るスイーツ双方の人気が高く、店は多くの常連客に支えられていた。

 店主夫婦の娘である咲綾があとを継ぐのは、いつの間にか既定路線みたいになっていたけれど、両親の経営するこの店を、咲綾もとても愛しているので問題ない。

「そんなことないもん。今日は、お休みだからいいんだもん」

 祖母に言い返しながら、ぱっと自分の手を見る。

 小さい。これは、子供の手。

 今、『咲綾』は七歳か、八歳だろうか。まだ、祖母が生きているから。

 そんな風に冷静に考えてしまうのは、これが『夢』なのだと『咲綾』も理解しているから。

 もう、祖母はいない。咲綾が中学校に入学した直後に亡くなってしまった。

 両親もいない。いや、両親の前から咲綾が去ったのだ。

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