転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 世界史の授業でも学んだ。分不相応な野心を抱いた者は、結局不幸な最後を迎えることが多かった。

 ようやくザーラの手から逃れることができたのに、ここで敵を増やす必要もないだろう。素直に感謝の言葉だけを口にする。

「……リヒャルト」

 そうしたら、にっこり笑って訂正された。本当にいいのかと黙っていれば、彼は手をひらひらとさせてヴィオラを促す。

「あ……ありがとうございます、リヒャルト様」

 地味に、目立たず。この国で穏やかに生きていくことができればそれでいい。そう思っていたはずなのに。

「では、クィアトール宮まで送ろう」

「ありがとうございます!」

 子供の顔をして、微笑みは崩さない。そうしていることだけが、この国で生き残る手段だから。

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