転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 ヴィオラには食べるように勧めておいて、皇妃は紅茶ばかり口に運んでいる。クッキーを二枚食べたところでお腹がいっぱいになったようで、紅茶を飲むのもやめてしまい、ヴィオラにいろいろと話しかけてくる。

「リヒャルトは愛想がないから、相手をするのが大変でしょう?」

「そ、そんなことないです! いつも、優しくしてくれるし! 靴擦れがひどかった間は、ずっと抱っこしてくれたんですよ!」

 アデリナ皇妃の前では、リヒャルトの株を上げておいた方がいい。だから、この間リヒャルトが手を貸してくれたことはきちんと報告しておいた。

「こら、ヴィオラ、余計なことを言うな!」

「まあ、リヒャルト。あなた、妹がいないからってヴィオラさんに迷惑をかけてはだめよ?」

「そ、そういうわけではありません!」

 リヒャルトがあせった様子になり、皇妃は声をあげて笑う。

「あなたはお料理が上手と聞いたわ。味噌を使った料理を作ったのですって?」

「ありがとうございます。おいしく食べてもらえてよかったです。もっと小さかった時、出入りしていた商人から教わったんです。覚えていてよかった。聞いたことなかったけど、ミナホ国と交易していたのかも」

 ミナホ国のことなんて、先日騎士団に行くまでまったく知らなかった。かといって、
前世のことを持ち出すわけにもいかない。国元のことまでは詳しく聞かれないだろうと、とっさに話を作る。

 王女なのに料理ができる理由を聞かれたらどうしようかと思ったけれど、その心配は杞憂に終わった。

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