氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
「僕の家は父方がなかなか子に恵まれなくてね。僕は両親が諦めかけた時にひょっこりできた子なんだ」
「気負いがなくなった途端出来たりすることってあるみたいだもんな」
「加えて僕は身体も弱くてね。元々子種が少ないのにさらにそれが少ないってことで、僕に子ができる確率は極めて低いんだ」
正直言葉を失った。
男に生まれたからには子を為すことは使命のひとつであり、命懸けで子を為す種族も居る。
鬼族は情熱的な者が多いため子沢山の印象があるが、名家の一人っ子である泉に子ができないのは大問題だ。
「如ちゃんには何の問題もないんだよ。ただ僕が弱くて頼りなくて情けないから…」
「そんなことねえよ。如月の性格上お前を見放してるのならとっくに離縁してる。あいつがお前の傍に居たいって思ってるからここに居るんだ。さっきの如月じゃないけど、自信持てよ」
うん、と小さな声で呟いてはにかんだ泉を上から下まで眺めてみた。
確かに線は細いが背は高く、やはり天満に似ているなという印象を抱いた。
そういえば…
「ふふっ」
「?急に笑ってどうしたの?」
「いや、主さまの弟妹たちの中に天満っていうのが居てさ。如月のひとつ上の兄ちゃんなんだけど、そいつが如月の世話してて唯一如月を叱りまくっててあいつにとって逆らえない存在なんだ。どっか印象がお前と似てるから、あいつやっぱり天満っ子だったんだなって」
へえと笑った泉をじっと見ていた氷雨は、酒瓶が空になるとずいっと身を乗り出して泉の顔を覗き込んだ。
「なあ、晴明って知ってるか?」
「ええと、安倍晴明?如ちゃんたちのお祖父様じゃなかったかな」
「そうそう。そいつが作る薬を飲むと病が吹き飛ぶって言われてる。ここに呼んでみてもいいか?」
「え、それは助かるけど…」
「如月もさっさと晴明に頼んでみれば良かったのに。あいつ甘え下手だからなあ」
きっと勘当されていた身で身内を頼るのは矜持が許さなかったのだろう。
「ほんっと馬鹿な奴」
その口調には親しみがあり、泉もまた同意するように頷いて二本目の酒瓶を取り出した。
「気負いがなくなった途端出来たりすることってあるみたいだもんな」
「加えて僕は身体も弱くてね。元々子種が少ないのにさらにそれが少ないってことで、僕に子ができる確率は極めて低いんだ」
正直言葉を失った。
男に生まれたからには子を為すことは使命のひとつであり、命懸けで子を為す種族も居る。
鬼族は情熱的な者が多いため子沢山の印象があるが、名家の一人っ子である泉に子ができないのは大問題だ。
「如ちゃんには何の問題もないんだよ。ただ僕が弱くて頼りなくて情けないから…」
「そんなことねえよ。如月の性格上お前を見放してるのならとっくに離縁してる。あいつがお前の傍に居たいって思ってるからここに居るんだ。さっきの如月じゃないけど、自信持てよ」
うん、と小さな声で呟いてはにかんだ泉を上から下まで眺めてみた。
確かに線は細いが背は高く、やはり天満に似ているなという印象を抱いた。
そういえば…
「ふふっ」
「?急に笑ってどうしたの?」
「いや、主さまの弟妹たちの中に天満っていうのが居てさ。如月のひとつ上の兄ちゃんなんだけど、そいつが如月の世話してて唯一如月を叱りまくっててあいつにとって逆らえない存在なんだ。どっか印象がお前と似てるから、あいつやっぱり天満っ子だったんだなって」
へえと笑った泉をじっと見ていた氷雨は、酒瓶が空になるとずいっと身を乗り出して泉の顔を覗き込んだ。
「なあ、晴明って知ってるか?」
「ええと、安倍晴明?如ちゃんたちのお祖父様じゃなかったかな」
「そうそう。そいつが作る薬を飲むと病が吹き飛ぶって言われてる。ここに呼んでみてもいいか?」
「え、それは助かるけど…」
「如月もさっさと晴明に頼んでみれば良かったのに。あいつ甘え下手だからなあ」
きっと勘当されていた身で身内を頼るのは矜持が許さなかったのだろう。
「ほんっと馬鹿な奴」
その口調には親しみがあり、泉もまた同意するように頷いて二本目の酒瓶を取り出した。