悲しみの理由を忘れた少女
〜西条くんとの気まずい空気〜

「歩美も一緒に行こうよ。

少しでいいから。ね。」

両手を顔の前で合わせる由梨。

今日は、2年の第1回目テストがやっと終わったという日。
無事に終わったお祝いに、とクラスの何人かでカラオケに行く予定が立てられた。

「ね、歩美も行くでしょ。」

私が返事をしぶると、由梨は必死になって説得をしてきた。

私が返事を渋っている理由、それは西条くんだ。
彼も参加するようで、私は少し悩んでいた。

泣いているところを見られた日以来、西条くんとは少し気まずく感じる。

「いいよ。由梨、必死過ぎ。」

私は、必死になっている由梨をからかうようにそう言った。


「よーしっ、じゃあ行こう。」

由梨は私の腕を引っ張り立たせる。

「歩美も行くって。」

カラオケに行くメンバーの中にそう言いながら入る由梨。
西条くんと目が合った。
それで私はサッと目をそらす。

こういう自分が私は嫌いなのだ。
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