悲しみの理由を忘れた少女
〜由梨の真剣タイム〜

「急にどうしたの？」

今日の夢のせいか、どうしてか、聞いてみたくなったのだ。

由梨は私をどう見ているのだろうって。

由梨はジッと私を見つめた後、何かのスイッチを切り替えるかのように大きく息を吸い込んだ。

「すごい可愛い私の一番の友達。


でも私、歩美は全く本当の自分を見せてくれないなぁって思う。」

その声を聞いた瞬間、時間が止まったかのように私の身体には衝撃が走る。

「でも、今日みたいにさ、ほんの少しだけでも見せてくれた時は少し嬉しいんだ。

実は歩美って凄い不安定でしょ。

でもそれを歩美は完ぺきに隠し切る。」

私は、由梨の言葉に唖然としてしまった。

由梨がそんなに真剣に答えてくれると思っていなかったのもあるけれど、
それ以上に由梨の言うことがとても的を射ていたんだ。

「でもね、時々は由梨にそういう気持ち言ってくれていいんだよ。」

「由梨…。」

少しの沈黙が流れた。

「はいはい、由梨ちゃんの真剣タイム終わり。」

由梨は顔の前でパチっと手を合わせた。

「由梨、ありがとう。」

最近は全く無かった自然の笑顔を私は由梨に向けた。

「歩美ほんと可愛い。天使。」

そう言って由梨は私に抱きつく。
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