悲しみの理由を忘れた少女
〜家庭環境〜

母は弱い。

親を子供があやす。
そんな矛盾の中で私は生きてきた。

父はすぐに泣く母に嫌気をさして、避けるように遅くにしか帰ってこない。

私はどんなに嫌なことがあっても、言える人がいない。
泣きつける場所はない。

私は淋しいんだ。
家で親がいても、嫌われていなくても、やっぱりこの親子の矛盾が私を苦しめる。

弱い母を憎めない。
逃げる父を憎めない。
私が家族をほったらかしたら、この家は成立しない。

きっとすぐに壊れてしまう。

その重荷は私には重すぎて。
潰れそうになる。
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