隠れ蓑〜Another story〜


食ってかかる私に更に冷たい視線を向ける津川さんに、負けじと応戦する。






「そんなのあんまりです。先輩に人権は無いんですか?!いくら貴方が先輩の婚約者だろうが夫であろうが、先輩は貴方のモノじゃないっ!!!」

「これは俺と晶帆の問題だ。部外者は黙ってろ。」






私たち2人の口論をオロオロしながら見ていた先輩も津川さんの醸し出すドス黒いオーラを感じて取って止めに入ってきた。


「けっ、、津川さんっ!!それに真美ちゃんも!!今は業務中です!!自分の事は自分で決めます!!だから言い争いはやめて、2人とも仕事に戻って下さいっ、、!!!お願い、、します、、、。」





先輩の悲痛な叫びに黙り込む事しか出来ない。

津川さんも同じだったようで、先輩の頭を優しく撫でて受付を立ち去っていった。







一気に威圧的な緊張感から解放され、どっと疲れが押し寄せる。

そして先輩を憐れむように見つめる。







「、、先輩って本当大変ですね。あんなに横暴な人が恋人だなんて、、きっと苦労しますよ。」


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