隠れ蓑〜Another story〜


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仕事から帰ってシャワーを浴びていると、玄関の方で物音がした。

そしてその音はどんどん近くなり、浴室の前で止まった。



〝コンコン〟と磨りガラスのドアをノックする愛しい彼の姿に頬が緩む。







「お帰りなさい、圭くん。今日は早かったんだね!もう少しで上がるからリビングで待ってて?ご飯の用意は出来てるから上がったらすぐ作るよ。」

「ただいま。晶帆も疲れてるのにごめん。じゃあリビングで待ってる。」






そう言って脱衣所から彼の気配が消えたのを確認して急いで浴室から脱衣所へ移動した。

体をタオルで拭いていると、ふと洗面所に目がいってしまう。

そこには私の歯ブラシの横に今までなかった彼の歯ブラシがあって、それを見る度に彼と本当の恋人になったのだと実感して嬉しくなる。




でも、そう実感させてくれるのは歯ブラシだけじゃない。

例えば、チャイムを鳴らさなくても合鍵で部屋に入って来てくれる事だったり、彼の下着からスーツ、私服に至るまでクローゼットの中にストックされてあったり、お揃いの食器や一回り大きくなったベット。



そして何より実感する瞬間は、目が覚めても彼の温もりが隣にあってその温もりに抱きしめられて目覚める朝だ。






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