隠れ蓑〜Another story〜


動揺してうまく言葉が出ない。



「まぢっ!?!?西村ちゃん今フリーなの!?!?!?じゃあ俺と付き合おうよっ!!!まぢタイプなんだよねっ、、!!」





営業の1人の男が、別れ話を聞いた途端に目の色を変えて彼女に迫る。

いつもなら庇うのに、身体が動かない。





それどころか私の中の真っ暗の感情が付き合ってくれればいいのに囁く。

フリーになられたら困る。




だから焦ってアシストしてしまう。


「そ、そうだよっ!まだ若いのに恋愛に向いてないなんて言わないの!!傷ついた穴を埋めるのは新しい恋だよっ、、!こいつ、優しいやつだから西村ちゃんにおススメだよ?試しに、、付き合ってみたら、、、?」

「えっ、、、?いえ、、その、、私は、、。」

「試しにだよっ!試しに!!!駄目だったらまた探せばいいじゃん。ねっ、、!?」





必死に声を掛けると後ろから黙って見ていた圭が呟いた。




「もう恋愛にウンザリだっていってるだろ、西村さんも。、、空気読めよ。それより行くぞ。報告書作りがあるだろうが。」


営業主任である圭の一言で、営業の男性陣はトボトボと受付を離れて行く。

そんな圭の後ろ姿をただ、見つめることしかできなかった。




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