恋愛初心者です、お手柔らかに？

「ありがとう、倉橋さん。大丈夫よ、私は。浜田さん、何か勘違いしてるみたいね。倉橋さんが言ったように、あの日出かけたのは、前に営業部にいた天野さんの所に連れて行ってくれただけだから。何もないのよ、最初から」

何もないのよ、最初から。
そう言いながら、虚しくなる気持ちを抑えた。
彼女なのに、齋藤君と付き合ってるのに、それが言えないなんて…

しかも、彼女が別にいるとか…

「だけどっ！」

続けて何かを言おうとする浜田愛美に私は、冷たく言い放った。

「いい加減にして。倉橋さん、ありがとうね。私は帰るわ、お疲れ様」

倉橋さんに、庇ってくれたお礼を言って私は更衣室を出た。

閉めたドアの向こうで浜田愛美達が、何か文句を言っていたけれど。

更衣室から出た時だった。

「永山…」

「え？あ…白石課長」

「今帰りかな？よかったら、食事でも行かないか？」

待っていたのか、更衣室の前に白石課長が立っていた。