魔法学園の落ちこぼれは卒業できるのか
第1章　嬉しくない入学許可
「･･･と･･･て･･･」

･･･誰かの声がする。

(私を呼んでいるの･･･？)

これは夢なのだろうか、温かくて柔らかい何かに包まれていていつまでもこのままでいたいと思う。

「ちょっといい加減に起きなさい！ジゼル！！」

「っうぇ？！」

突然耳元で大きな声を出され、一気に目が覚める。

「もう、ジゼルったら全然起きないんだから」

そうやってため息をつくのはルームメイトのアデリア。
どうやら耳元で大声を出したのはアデリアだったようだ。

「･･･ああ、また一日が始まってしまう･･･」

「また言ってるの？早く支度しないと遅刻するよ」

呆然とする私に構うことなくアデリアは身支度を整えていく。
まあこのやりとりはこの一ヶ月ほぼ毎日繰り返されているから仕方ないと言える。
ベッドから起き上がり、のろのろと支度をする。
私は元々朝にあまり強くないけれど、このあと待ち受ける苦行のせいでさらに動きが鈍くなる。

壁際に二段ベッド、窓際に小さめの机が二台、備え付けのクローゼットと洗面台。
少し手狭なこの部屋でアデリアと共同生活を始めて1週間。
そもそもこんな共同生活をすることになった事の発端はかれこれ数ヶ月前まで遡る。
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