剛力家の三兄弟

・・っ!?
なんか今、私への殺気立った鋭い視線を…
感じた気がするけど…

真奈美は振り返って見たものの、殺気立った視線を送る人はいなかった。
真奈美自身も、そんな視線を送られる身に覚えも無く、きっとそれはイケメンパパ、禎憲への強い羨望の眼差しだと思いなおした。

結局、禎憲との否応ない取引の結果、真奈美はツーパーク用の年パスを買って貰う事になった。

年パスを買うに際して、身分証明書として、免許証か、パスポート、もしくは住民票がいる事を、この時真奈美は初めて知った。
免許証も、パスポートも持っていない真奈美の身分証明書と言ったら、住民票になるのだ。

だから、最初に役所に寄ったのか?


『では、続いて、御写真をお撮りしますね?』

「あっその写真なんだけど、二人一緒で頼めないかな?」

禎憲の突然の申し出に、キャスは勿論、真奈美も、そして後ろに並んでいたゲストも驚いていた。

なぜ、二人一緒なの?
ネズミランドでは、年パスは身分証明書のような物。
その写真を二人にするなど、あり得ないでしょ!

「禎憲さん何言い出すんですか?」

「俺と一緒の時だけ使えるパスポートにする為?
勿論、俺も真奈美以外とは来ない、使わない」

「する為っとか、私以外とは来ないって・・・
あのですね!
それは互いの気持ちの問題であって、ルールを変えさせて良いと言う話じゃ無いです!
一人で撮って貰うのが嫌なら、年パスはやめて、ワンデーパスにしましょう?」
その方が安いし! 私も気が楽だ。

二人のやりとりに、他のゲストからの失笑があり、耐えられなくなった真奈美は、“もう、帰りましょうか?” とまで言い出した。

真奈美の説得もあり、禎憲はパスポートのキャラクター柄をお揃いにする事で、諦めてくれた。

お揃いくらいなんて事ないけど、アラフォーにもなろう男(ひと)が、お揃いって・・・
でも、ちょっと禎憲さん可愛いかも?

可愛いなんて言ったら、きっと怒るだろうな・・?




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